隅谷三喜男賞は石川航会員(立教大学異文化コミュニケーション研究科博士後期課程)に、村井吉敬賞は富田育磨会員(Agroforestry Center Northern Thailand 代表)に授与することが決定しました。
国際ボランティア学会の会員(正会員、学生会員、法人会員)ならだれでも応募できます(共著の場合、筆頭著者は学会員に限ります)。阪神・淡路大震災に関することなら、内容は自由で、言語は、日本語あるいは英語とします。文字数は、400ー1,600字以内(日本語)、200-800 words (English)。原稿の投稿〆切は、2025年8月31日です。原稿は、委員会で査読を行い、採否を決定の上、表現などの修正をお願いすることがあります。なお、採用された作品は、「ボランティア学研究」26号に掲載予定です。
【趣旨】(「ボランティア方丈記」へのお誘い)
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にはあらず」
鴨長明の「方丈記」が完成したのは、13世紀のはじめ。当時の京都は、地震、大火、飢饉など自然災害と人災が度重なっていました。方丈記は、それらの天変地異のなかで暮らす人々の惨状と心情を現代に伝えてくれています。
1995年の阪神・淡路大震災は「ボランティア元年」といわれ、市民社会のあり方に非常に大きな影響を与えた自然災害でした。その後30年間の間に、日本においてさまざまな形の自然災害と人災が重なる複合的な災害に見舞われてきました。海外に行くと、多くの災害関係者はKOBEのことを忘れておらず、どのように復興したのかという経緯や課題に関心を寄せています。しかし、私たちの社会は、あの悲惨な経験の中から生まれた貴重な教訓を活かしきれているのでしょうか?
阪神・淡路大震災以後の30年をボランティアという視点で振り返ることにより、未来の日本社会のあり方を投影する羅針盤のひとつになるのではないかと考えました。国際ボランティア学会の会員の皆さん方から自由な寄稿を募集します。できれば、思い出話や体験談だけでなく、そこから派生する未来への示唆をいただけるとうれしいです。投稿いただいた寄稿文をホームページ上で繋いでいくことにより、新しい発想やイノベイティブな変化が起こるのではないかと期待しています。
国際ボランティア学会の学術誌『ボランティア学研究』第26号(2026年2月刊行予定)に掲載する投稿論文を募集いたします。
投稿原稿の種類は、ボランティア学に関する論文、研究ノート、調査報告、フィールドレポート、書評です。
また、第26号の特集テーマは『垣根のない人道支援を目指して』となります。
上記特集テーマに関する論文も同時に募集いたします。
詳細は、学会HPに掲載されている「倫理規程」「倫理規定に基づく研究ガイドライン」「執筆・投稿規程」「執筆要領(図表表記・引用法)」をご確認ください。
投稿の締め切りは、以下のとおりです。
2025年7月13日(日)
尚、お問い合わせ、原稿の投稿先は、本学会編集委員会(journal@isvs.jp)です。
学会員からの数多くの論文投稿をお待ちしております。
よろしくお願いいたします。
国際ボランティア学会では2024年度、公式ロゴを一般募集いたしました。その結果、3点の応募があり、学会員の投票を経て、第9期第8回理事会(2025年2月21日開催)で審議した結果、N.S.さん(大学生)がデザインした以下のロゴに決定いたしました。
デザインに込められた想い:
上向きに伸びていくイメージの樹木のモチーフに、境界を持たない風、気流のモチーフを組み合わせました。枝分かれは、活動に触れたあらゆる人の新たな可能性のイメージです。10年経っても古く見えないようシンプルで汎用的な美しさを目指しました。
国際ボランティア学会は、日本WHO協会との共催の形で2025年2月8日(土)-9日(日)に大阪梅田スカイビルで開催されるワンワールド・フェスティバルでセミナーを実施します。
大阪梅田から至近距離ですので、気軽にお立ち寄りください。
【日時】2025年2月8日(土)13:45―14:45
【場所】大阪梅田スカイビル
【テーマ】「だれひとり取り残されない災害支援:能登半島地震支援の現場から」
【内容】
座長:中村安秀(国際ボランティア学会・会長)
講演:木下真由香氏(ピースウィンズ・ジャパン、空飛ぶ捜索医療団)
「 繋がる支援:被災者と歩む健康とコミュニティ支援」
ボランティア報告:熊谷朋也さん(関西学院大学法学部法律学科)
会場参加者との質疑応答
【趣旨】
本年度のWHO世界保健デーのテーマは「My health, my right(わたしの健康、わたしの権利)」です。2024年1月1日に発生した能登半島地震で被災された方々の健康と暮らしは、守られていたのでしょうか?
2024 年 1 月より石川県珠洲市に常駐し、巡回診療の補助、避難所巡回、仮設住宅や在宅の戸別訪問、コミュニティ支援のための茶話会の開催など支援の最前線で活躍している看護師の木下真由香さんにお話しいただきます。また、能登半島被災地にボランティア活動を行ってきた若い世代の学生にも発言いただく予定です。
大阪梅田スカイビルのワンワールド・フェスティバルの会場に、ぜひお越しください。
【主催】国際ボランティア学会、公益社団法人日本WHO協会
阪神淡路大震災30周年
「ボランティア元年から30年。私たちは本当に前進したのだろうか?」
2025年1月17日
中村安秀(国際ボランティア学会)
阪神淡路大震災が起きたとき、勤務していた東京の大学病院の震災支援チームリーダーを務めた。一方、それとは別に、小児科医、産婦人科医、臨床心理士、医学生などから構成されるCHAGEという支援グループを作り、東京から神戸市長田区の避難所になった小学校に通い続けた。
1995年3月、やっと動き始めた神戸市営バスのなかで、高齢の女性に声をかけられた。
「いまどきの若い者と言ってきたけれど、ボランティアの若い人を見直したわ。」
日本各地から数十万人のボランティアが駆け付けた。それだけのボランティアを受入れるシステムはなかった。何をすればいいのかわからず、右往左往しているボランティアも少なくなかった。それでも、温かく声をかけてくれる地元の被災者がいた。
国際ボランティア学会は、震災3年後の1998年に発足した。その趣意書には、「阪神・淡路大震災以降日本の社会にボランティアに対する理解と関心が広がってきている。・・・(中略)・・いま日本の政府、NGO(非政府組織)、NPO(非営利組織)も含めて地球規模の諸問題解決のために世界的なネットワークで取り組みが始められている。」と書かれていた。
その後、日本海沖ナホトカ号重油流出事故(1997年)、新潟県中越地震(2004年)、東日本大震災(2011年)、熊本地震(2016年)。大きな災害が起きるたびに、全国からボランティアが駆け付け、被災した自治体やコミュニティが受入れることにより、被災者とボランティアとの間でさまざまな交流が見られた。悲惨な災害がなければ出会うはずのなかった、よそ者と地元の方々が紡ぐ協働の物語が全国各地の被災地で生まれていた。
2024年1月1日に起きた能登半島地震では、様相が大きく異なった。個人のボランティアは受け付けていないという県知事の発言の影響もあり、自由な発想と多様性に富んだボランティア活動は大きく制限された。
阪神淡路大震災から30年。災害時には全国各地から多くのボランティアが被災地に駆けつけるという風景は一変した。「ボランティアに行くと迷惑がかかる」、「被災地ではボランティアを望んでいない」といった風説は、ボランティアを志す人たちの気持ちを凍らせた。一度、途切れた思いをなかなか元に戻すことが難しいまま1年が過ぎた。
災害後の復旧(Rehabilitation, Reconstruction)や復興(Development)には、経済的、社会的、心理的に大きな痛手を受けた人々や社会の恢復力(レジリエンス)が必要である。経済的・社会的な復興には国や行政の強力な支援が必要不可欠である。一方、心理的な復興には、人と人のネットワークが支える信頼と安心の結びつきが欠かせない。まさに、ボランティアの出番である。
阪神淡路大震災から30年目の節目の日に、かつて東京から駆け付けたひとりのボランティア経験者として、国や県が管理する形ではなく、個人の自由意志を尊重し、同時に被災した地元の地域社会と共生できるような形の災害ボランティアシステムの再構築を切望する。
以上